リーダーシップ、マネジメント

効果的にキャッシュを得るためのマーケティング(後編)

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 給料日に給料が振り込まれるのは当然と考えていませんか?
 顧客が会社の製品・サービスを購入しなくなれば、会社にキャッシュは入ってこなくなるのです。そうなれば、最悪、給料日に給料が支払われないという状況が生まれるのです。
 そうならないように、企業が売上を上げ続けるような体制を作る必要があり、その中心的な活動こそがマーケティングです。
 マーケティングは企業の生命線を握る活動であり、マーケティングに長けた人材は、将来的なマネジメント候補にもなりやすいと言えます。

●人の行動はほとんどが習慣

 人間はあるカテゴリーの商品をまんべんなく検討してモノを買うわけではありません。選択肢の中からその時の気分などに合わせて選ぶことが多いはずです。この選択肢おセットをエボークトセットと呼びます。
 いったんエボークトセットに入ってしまえば、人間はその中で製品を好み(プレファレンス)の程度に応じて選ぶようになります。その習慣はなかなか変わりません。
 マーケティングでは、このようにエボークトセットの中に入ることがまずは目標となります。ただし、エボークトセットの中に入ったとしても、選ばれる順位が下の方では、やはりそれほど儲かりません。

●チャネルの視点で考えろ

 何かしらの戦略や仕組みを考える際には、その対象の視点で考えることが非常に効果的で、マーケティング戦略の一部であるチャネル戦略(卸や小売ルートの設計・管理)も同様です。
 顧客の利益や感情を顧客の視点に立って考え、Win-Winの関係を構築する必要があるのです。
 一方で、チャネルは、戦略の変更が必要な時にはしがらみ、足かせになることがあります。あるべきチャネルの姿を前広に構想し、手遅れになる前に手を打つことが重要です。

●ブランドは単なるプロモーションの結果ではない

 いい企業ブランドはどうすれば構築できるのでしょうか。
 ブランドとは定義の差はありますが、突き詰めれば企業に対する信頼・信用であり、好ましい事柄を連想させる力です。これらは単に広告やプロモーションをすることで伝わるものではありません。愚直に企業活動を行い、競争に勝ち、信頼を得てきたからこそ生まれたものです。
 企業ブランドの構築は、マネジメント層が強くコミットするとともに、末端にまで浸透させたいブランドの意識が浸透し、企業活動に反映されてこそ、初めて実現するものです。

●顧客満足は最高のマーケティング

【顧客満足の副次的効果】
・リピート購買を行う
・その企業の他商品も買う(客単価が上がる)
・いい口コミをしてくれる
・値引き要求が弱くなる、高価格を受け入れてくれやすい
・有益なフィードバックをしてくれる

 これらが複合的に効いてくる結果、最も費用対効果の高いマーケティングである、という状況が生まれるのです。
 顧客の真のロイヤリティと、見せかけのロイヤリティを勘違いしてしまうと、その後を誤まってしまいかねません。
 そこで、近年採用されている指標がNPS(ネット・プロモーション・スコア)です。NPSでは、「当社のことを友達に勧める可能性はどれくらいありますか?」と質問し、10点満点で9点以上をつけた推奨者の比率から、6点以下をつけた批判者の比率を引いて100ポイントからマイナス100ポイントの間でスコアを算出します。
 NPSが低ければ、リピート購入率が高くても、それは顧客満足に基づくものではなく、他の要因によるものであると判断できます。
 顧客満足を上げるために有効となるのはアンケートですが、不満に思った顧客が必ずしも生の声を書いてくれるとは限りません。むしろ、無言で利用しなくなる、いわゆる、“1Silent customer is silent gone”の状況が起こります。
 費用対効果にもよりますが、必要に応じてリピートしなかったり、ブランドスイッチしてしまった顧客の追跡ヒアリングを行ったり、多面的に声を集め、真の問題がどこにあるかを見きわめる必要があります。

●法人顧客の最大の関心毎は社内からの評価である

 企業や法人顧客向けのマーケティングは、通常の消費財とは異なる難しさが存在します。その一つが、購買担当者の社内での責任やそれにともなう人事考課です。その重要性を示す言葉が冒頭のものです。
 法人向けビジネスでは、購入の意思決定者は、社内に対して説明責任や結果責任を負います。トラブルが起これば、担当者は人事考課上、マイナス点をつけられるでしょう。
 こうした理由から、企業の購買担当者は保守化しやすいのです。
 B to Bビジネスのベンチャー企業などは、こうした法人顧客の保守性を踏まえた上で、下記のような施策をとるのが一般的です。
・圧倒的なコストパフォーマンスを実現する
・社内に対して先方の担当者が説明しやすい資料を準備するとともに、サポートを充実させる
・新しいもの好きの顧客を狙い、実績を積む
・いきなり全社に導入するのではなく、一部で試験導入する

●人が先、顧客は後

 最終的には顧客満足を実現する必要性はありますが、それを実現できる体制がないうちに、小手先で顧客満足を実現しようとしても難しいものがあります。
 特にサービス業では、顧客満足を実現する重要な要素は従業員です。従業員のスキルが高く、かつモチベーションが高い状態が実現されていないと、「従業員満足→顧客満足→従業員満足……」というサイクルを回すことができません。

●顧客は神様ではない

 顧客と適度な距離感をとり、場合によっては顧客の選別も行いながら、トータルとしての利益を最大化しようというのがこのフレーズの主旨です。

【顧客を無批判・無制限に受け入れ、丁寧に扱いすぎることのデメリット】
1.対応にコストがかかりすぎる
  手のかかる顧客に過度に手間暇をかけることは、コスト高や従業員満足度が下がり、それがさらに顧客満足度低下につながりかねません。
2.顧客満足やブランドイメージを毀損しかねない
   本来自社製品・サービスを使ってほしい顧客層とは異なる顧客が増えてしまうと、他の顧客の満足度が下がったり、ブランドイメージが下がったりします。
3.顧客のためにならない
   たとえば大学教育は、本来は顧客(学生)の知識やスキルを高めることが目的のはずです。一方で学生は、楽をしたい、手を抜きたいというというものです。そうした要求に迎合してしまうと、肝心の知識やスキルの向上が図れなくなってしまいます。

 適切なバランスをとることは容易ではありませんが、企業としての利益最大化という観点はつねに持っておく必要があります。

(出典:MBA100の基本)

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