リーダーシップ、マネジメント

競争を乗り越え、企業を成長させる14の経営戦略(後編)

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企業の目的は、社会に価値を提供しながら繁栄を続けることです。株式を公開している企業であれば、さらに企業価値の最大化を追い求めるという条件がつくでしょう。
これは言葉にすると簡単ですが、実現するのは容易ではありません。経営環境をしっかり見据えて、効果的な戦略を描き、それを適切に実行し続けられる企業だけが勝ち組となれるのです。
よい戦略を構想するのは容易なことではありません。それでもいくつかのポイントを意識するだけでも、戦略の有効性は大きく変わってきます。

<後編⑧~⑭>

⑧ベストプラクティスに解はない

 ベストプラクティスとは、結果を得るのに最も効率のよい手法やプロセス、活動などを指します。関連する言葉にベンチマーキングがあります。これも、他社の優良事例などから参考にできる点を学び、自社の活動に取り入れようとするものです。
 しかし、安易にそれに頼っていては人真似になってしまい、エッジの立った提供価値や、ユニークなビジネスモデルには結び付きません。
 それが「ベストプラクティスに解はない」ということです。これは、ベストプラクティスの以下の弱点に起因します。

1.未来志向ではない

 どれだけすぐれたベストプラクティスも、所詮は過去の方法論です。なまじ短期的な結果がともなうがゆえに、未来の変化に対する感性を弱め、組織から考える力を奪ってしまいかねないのです。

2.自社の強みを弱める可能性がある

 どのような企業にも、その会社独自の強みがあります。それは、有形資源だけではなく、「見えざる資源」も含みます。安易に他社のやり方を模倣することは、本来の強みと不整合を起こしたり、自社の強みを活用することへの執念を失わせる結果、それを弱体化させかねないのです。
 ベストプラクティスが役に立たないということではありません。自社の文脈を正しく理解した上で、未来を意識し、自社ならではの「解」を粘り強く模索することが重要なのです。

⑨戦略は外に対して正しいだけではなく、内に対しても正しい必要がある

 戦略は、紙に書けばそれが勝手に実現するというものではありません。それを実行するのは従業員です。従業員の多くが、「この戦略は実行したくない」と考えるなら、その戦略は実行されることはないでしょう。
 つまり、戦略とは、対外的な視点(市場・顧客や対競合など)からも有効であるだけではなく、社内的な視点(従業員のスキルややる気など)からも実現可能なものでなくてはならないのです。
 従業員にとっても、「できる」「やりたい」と思えるようなビジョンになり戦略を描くことが求められるのです。

⑩強いから生き残るのではない。適応するから生き残るのだ

 どれだけ規模が大きく、一次的な競争優位性を築いたとしても、環境に適応できなければ滅んでいまいます。
 近年の研究によれば、企業がある事業において競争優位を持続できる期間は、一般的に思われている以上に短いことが示唆されています。
 変化こそが常態であり、つねに環境変化に合わせて変化するということを愚直に実行できる企業こそがあるべき姿だと見なされるようになってきたのです。

⑪すぐれた経営が、大企業を衰退させる要因である

 いくつかの大企業が衰退した理由を探ったところ、その原因は不適切な経営ではなく、むしろ愚直に顧客の期待に応えようと努力していたことこそが、企業衰退の原因だったというのがこと言葉の意味合いです。
 これが起こるメカニズムは以下のようになります。

1.優良顧客に対するフォーカスと破壊的技術の登場

 優良企業は、顧客、特に先進的な顧客の意見に耳を傾け、彼らが求める製品やサービスを開発・提供し、そのサービスを改良するために新技術に積極的に投資します。それにより、優良企業は成長します。
 一方で、時としてローエンドの破壊的技術が現れてきます。

2.破壊的技術に対する低評価とその浸食

 主流顧客は、性能の高い技術を評価しますから、破壊的技術を当初は無視します。彼らを相手にする優良企業も同様です。
 しかし、そうした技術を好むローエンド顧客は一定数いるため、徐々に一定の地位を占めるようになります。

3.気がついたら…

 技術進歩のペースは、顧客が求める性能向上のペースを上回ることが多いものです。結果、優良顧客むけの技術はオーバースペックになってしまいます。
 一方、破壊的技術は主流市場の中心に躍り出、競争力やシェアを持つようになります。

⑫真似できないものを持っているか否かが重要だ

 保有している経営資源が勝っているために競争上有意に立てるというケースは少なくありません。その中でも、競合が容易に模倣できない、価値ある経営資源(ヒト、モノ、カネ、ノウハウ、ネットワークなど)をもつことが特に重要です。

⑬CSVこそが競争優位につながる

 マイケル・ポーター教授は、近年、企業の社会への貢献が競争優位性を築く上でも非常に重要となってきたと述べています。ポイントはCSV(Creating Shared Value:共通価値の実現)ではなくてはならないという点です。
 企業活動そのものが共通価値(社会の経済条件や社会状況を改善しながら競争力を高める方針とその実行)の原則に則ってなされるべきであるという点が重要です。これにより、企業は、自分らしさを出しながら、環境面や社会面での持続可能性(サステナビリティ)に貢献し、社会とWin-Winの関係性を作ることができるのです。

⑭神は細部に宿る

 日本の諺に「一時が万事」というものがあります。わずか一つの事柄から、他のすべてのことを推し量ることができるといった意味です。
 戦略の実行も同様です。どれだけ入念に検討されたいい戦略であっても、いざ実行の段階で、細部のどこかに問題があると、そこから綻びが拡大し、その戦略の効果が削がれることがあります。例えば以下のようなケースです。

1.戦術への落とし込みが甘い

 戦略は最終的に局地戦である戦術に落とし込まれます。その戦術が全く練られていなかったり、大きな考えもれがあったり、各施策間に整合性がなければ、戦略は効果を発揮しません。
 とはいえ、通常は走りながら考えるということが多いはずです。
 その際に、関係者がしっかりコミュニケーションをとりつつ、素早くPDCAサイクルを回し、現場で適切にアクションがとられるような体制を作ることが大事です。

2.感情への配慮が甘い

 人間はロジックでは動きません。通常は、まず感情で判断をし、その後に論理的な理由づけをするものです。したがって関係者、特に戦略実行にあたってのキーパーソンへのきめ細かな配慮が必要になります。
 ここでもポイントはコミュニケーションです。人間は、しばしば他人を「機能」として見てしまう悪癖があります。しかし人間には感情があります。
 それらを念頭に置いた上で、彼らのプライドやモチベーションなどに配慮し、適切なコミュニケーションを行うことが必要なのです。

(出典:MBA100の基本)

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